今までの俺だったら募金する程心に余裕が無かった。
いや、正確に言うと金に余裕が無かった。
でも今日の俺は違う。
少しお金に余裕があって、心に余裕があった。
今日の俺は不思議だ。
胸の赤い羽根を誇らしげに思う。
「いらっしゃいませ」
可愛らしい営業スマイルで頭を下げる。
「宝くじ一枚とスクラッチを一枚下さい」
拾った500円玉を出し、お釣りの100円と欲望の詰まった紙を二枚受け取った。
スクラッチは一等が5万、二等が3万、三等が1万、四等が5千、五等が1千。
お釣りの100円玉で削っていくと一等の絵が3つ現れた。
「ぉおっ!!ビンゴだッ」
思わず声が出てしまった。
当たるなんて思っても見なかった。
「おめでとうございます。一等の五万円です」
受付の女性から封筒を受け取り、封筒の中身と宝くじを一緒に長財布にしまう。
「今日の俺…すごいなぁ」
言わずにはいられなかった。
自然と口元が緩む。