椅子は重力に従い、音を立てずにピカピカの床に降り立った。

シスターは此方に顔を向け、静かに口を開いた。

「あぁ、あなた方は…。今日はどのようなご用件で?」

微笑んだシスターの瞳には先程の輝きは無かった。

「やっぱりここにあったのね」

エレナは鏡の様な床を大股でシスターに歩み寄る。

スカートの中は、、、見えない!!

「この椅子を探していたんですか?」

真横に来たエレナを見上げ、不思議そうに首を傾げる。

「そうよ!隠してたのね!?」

「隠すなんて……。貴方が椅子を探していると言うから、沢山イスの置いてある食堂に案内したんです。見つけられなかったのは私の責任ではありません」

シスターは感情の見えない口調だが、エレナの物言いに少し腹を立てているのが分かった。

「シスター、さっき目が青く光ってたけど」

エレナが正論を述べたシスターに跳びかかりそうだったので、慣れないフランス語で質問しながら二人の間に立つ。

エレナが俺を邪魔そうに睨む。

それに俺は苦笑いを浮かべながらシスターの返答を待つ。