部屋を選び代金と引換に鍵を受け取った。

その間、エレナは恋人の様に俺の左腕に絡み付いていた。

「シャワー、浴びてくるね」

「あぁ…」

絡み付く腕が解かれ、マジックミラーの奥のバスルームに入った。

何なんだ、この状況!?

いきなり陸エレナと名乗る女に五万円貰って抱いてくれって…。

何故か俺の意に反して、本能は抱く気だし。

しばらくベッドの隅に座り、膝に置いた両手を見つめる。

俺はこのまま抱いてしまうのか・・・?

今日初めて会った女と!?

…抱くんだ。

金を受け取った以上、断る理由は何も無い。

マジックミラーの向こうで、白いフワフワの泡に包まれた体をシャワーで流しているエレナを見つめる。

確かエレナは人込みで初めて会った時、瞳は緑色だったはず。

だが、ファミレスに居る頃からピンク色に変わっている気がする。

カラコンを変えたのだろうか、と考えたがずっと俺の傍に居たエレナにそんな時間は無かった。

有り得ない事の連続で気が動転したいて、瞳の色が変わった様に見えたのか?