最初、エレナへの気持ちは俺の勘違いだった。

体を重ね、胸の高鳴りを好意だと思い込み、和華菜への愛を一時的に忘れていた。

エレナに愛が無かった訳ではないが、和華菜をその何倍も愛していた。

その証拠に寿の部屋で初めて和華菜を見た時は、必死で取り戻そうとした。

俺はエレナの目の前で最低な事をしてしまった。

でもエレナはそんな俺の隣にずっと居てくれた。

あの日の夜、エレナの小さな背中を見て、俺はエレナを悲しませちゃ駄目なんだと気が付いた。

付き合っているのは和華菜ではなくエレナなんだと改めて自覚してから、愛の天秤は逆転していった。

だから、夢でエレナと同じ行為を和華菜と繰り返した時は罪悪感と自己嫌悪でいっぱいだった。

和華菜から連絡があった時は、戻れるかもしれないと思ったが、助けた後にハッキリと別れを告げるつもりでいた。

俺が愛しているのは、エレナに変わっていたからだ。