拾った500円で5万円を手に入れてしまった。

一瞬、ドッキリかと思って当たりを見回したが、すぐにテレビカメラを探すのを止めた。

少し厚みの増した長財布を見て改めて、凄いと思った。

俺の人生で、ここまで金運に恵まれた事は無かった。

長財布をケツポケットにしまい、今夜は外食でもしようかと思いながら来た道を戻る。

「ユニセフ募金にご協力お願いしまーす」

さっきの子供たちだ。

俺は立ち止まり長財布から1万円を取り出すと、女の子が首から提げている白い箱に、その1万円を入れてやった。

「あっ、ありがとうございますっ!!」

金額を見た女の子は驚いた声を上げ、勢い良く頭を下げる。

それを見ていた周りの子達も頭を下げた。

あぁ…なんて良い気分なんだ。

再び歩き始める。

昼過ぎは人が多くて嫌だなぁ、と思いながら人の流れに従って歩いていると前方から歩いて来る女性に目を奪われた。

風になびく茶色のボブヘアに小顔でルージュの光るぷっくりとした唇。

サングラスを掛けているので、はっきりとは分らないが、とても綺麗な女性だ。

見惚れる様にしながら歩いていると、美人がこちらに向いた。