「僕は、いつあなたの婚約者になったんだろう？　教えてくれないか？」と言った。
遥は黙っていた。
「黙っていては、わからないよね？」と僕は言った。
「僕の結婚については、葛城は僕の自由意志を大切にしてくれている。」
「だから、親が勝手に決めるとかはない。」
「新藤は知らないけどね。」
「少なくとも、新藤と葛城に結婚話は、今現在ない。」
「あなたの家の為にも、あまり大騒ぎしない方がいいんじゃないかと思うよ」と僕は言った。

遥は「冬哉君を、どうしても自分のものにしたかった。」と言った。
「やった覚えもない事を言われ続けながら、怪我をさせらえる身になってみろよ。」
「身体だけじゃなくて、心だって病むんだよ。」
「それなのに、あいつは、お前らの方が辛いんだって言うんだぞ。」と僕は言った。

そして、ふと思った。
「あいつがいなければと思って、あいつの命を狙ってないよな。」と遥に聞いた。
遥は、焦った顔をした。
まさか、バレルと思わなかったという顔だ。

奏人が「新藤！狙ってるんだな。」と言った。
加奈が叫んだ「やめて！」

「だって、冬哉君。ちっとも、私の事を見てくれないんだもの」
「特に、あの子が現れてから、冬哉君変わっちゃった。」
「それまでは、みんなの冬哉君だったじゃない。だから、私を見てくれなくても、仕方ないって思えてた。」
「なのに、あんなつまらない子に、冬哉君たら、あっさり掴まっちゃうんだもの。」
「私が教えてあげる。あんな子より、私の方が数段にいい女だって。」
「だから、あんな子いらないの。そうでしょ？　冬哉君。」と言いながら、遥は僕に寄って来た。

遥の目は、完全に狂っていた。