更に、智恵子は続けた。
「だからね。他の女の子を抱いてきて。」と言う。
「それで、本当にいいの？ち～」と言うと「良くはないよ。でもね、ふゆ君のことを構ってあげれてないでしょ？私。」と智恵子はいた。

それは、ちっとも、智恵子のせいじゃない。
むしろ、イジメの根源を見つけられずにいる僕のせいだ。
なのに、智恵子は、カノジョらしいことができないから、他の女のところに行け、他の女を抱けと言う。

智恵子、そんなに１人で苦しむなよ。

「ち～。そんなことをしても、問題の解決にはならないよ。」と僕は言った。
「うん。わかってる。」
「でも、そうして欲しいの。ワガママだってわかってる。だけど、お願い。」と智恵子は言った。

僕は大きくため息をついた。
智恵子の「お願い」に僕は弱い。
でも、こればかりは、そうそう受け入れられないと思った。

「それと、もう１つワガママ言っていい？」と言う「なんだ？」と言うと「せめて、私が気に入った子にして。」と言う。
「ち～。どうしても、僕を他の女の所に行かせたいの？」と聞くと「うん。」と言う。

僕は「じゃあ、僕もワガママ言うよ。」
「他の女とつき合うよ。」
「でもね、ち～とは別れない。そして、ち～が１番なのは、変わらない。」
「良く覚えておいて。」と言った。

智恵子は何か言いたそうだったけれど、僕は遮った。
この時、遮らずに、ちゃんと聞いていれば、あんなことは起こらずに済んだかもしれないと思うと、後悔だらけだ。