私の名前は、葉山カノン。
画家である父と、元モデルで外国人の母を持つ、世間一般でいうハーフというやつ。
誰もが一度は振り返るような美人である母似の外見に、芸術家はだしで風変わりかつ頑固な父似の性格を受け継いだ私。
私のことを少しでも知る人に、いつも残念だと言われる。
「折角見た目が良くても、中身が変わり者じゃあねぇ・・・」
ということらしいが、そんなことをため息混じりに言われても、こっちが困る。
大して他人に興味を持たない私の青春時代は、当たり前だけど男っ気は全くなく終わり、成人して数年が過ぎた今でもそれは変わらなかった。
幼い頃から、私が興味を持っていたのは自然だった。
瞬きをする間に表情を変えていく美しい世界に、幼いながらに感銘を受けていたのだ。
煌くようなその一瞬を、形に残せたらいいのに、とそう思っていた。
家の近くの林で転げまわっていた私に、父親がくれたのはカメラだった。
「カノンが素敵と感じた瞬間を、好きなように撮ってごらん」
それが、私の世界観を変えるきっかけになった。
私は夢中になってシャッターを切った。
私が見た景色を、風景を、留めておくことのできない一瞬を、写真に収めたくて。