彼女と俺の出会いは本当に普通の出会い。

同じ大学の入学式でただ席が隣だった。
それだけの理由で出会った俺たち。


「あの・・・すいません」

俺は1人田舎を離れて東京にでてきた。
知り合いなんて全くいないし正直不安でしかなかった。

「は、はい」

「あの・・・すいません、席間違ってないですか」

そう言って彼女は座席表を見せてきた。

「え?あ!本当だ!すいません」

俺はあわてて立ち上がった。
彼女はふっと笑って「大丈夫ですよ」と言った。
彼女との最初の会話だった。


「あの・・・」

「なんですか?」

「緊張しないんですか?」

俺は隣の席の彼女にわけのわからない質問をした。
今となったら笑い話だ。

「緊張?」

「そう!緊張!」

「別にしないですよ。だって知ってる子いっぱい
いるし!」

「そうなんですか。俺田舎から出てきて何にも
知らないし知ってる人いないしで」