次の日、遥に連れられて来たのは山の中腹にある小さな墓地だった

ここは小夜の家からさほど離れておらず昔、隣接した公園に兄の自転車の後ろに乗って来たことがある

いつの間にか車の後部座席には庭に咲いていた花が乗せてある

「さあやは…うちのばあちゃんのこと覚えてるか?
あの病院に何度も入院してた…」

「うん…覚えてるよ…
とっても優しくて、あやとりとか折り紙とか、お裁縫とかいろんなこと教えてもらった
宮本のおばあちゃんちの子になりたかったんだもん…
忘れてないよ」

小夜は繋いでいる手にギュッと力を込めた

「アハハハ~さあやが、ばあちゃんの子になったら僕の伯母さんだね
ばあちゃんもさあやのこと大好きだったんだよ…
退院してくるといつもさあやの話ばかりで…
一緒に住んでる僕よりも好きなんじゃないかと嫉妬するくらいにね
だから病院は大嫌いなのに、見舞いに行って、さあやに意地悪してたんだ…ごめんね」