涙が溢れそうになるが泣いている場合じゃない
自分にそう言い聞かせ涙をぐっと堪える

握った拳を見つめてどのくらい経ったのか…気がつくと窓の外は薄暗くなってきた

ドアが開き良孝が眉間に皺を寄せて入ってきた

床に座り込んでいる小夜に足早に近づくと、見下ろしたまま言った

「ここにいても何も変わらない
もう父は話はないそうだ
帰るぞ」

…そんな…
話はないって…
あたしにはある!
ちゃんと断らなくちゃ!