ゴールデンウィークになり、行楽地の楽しげな様子がテレビからは伝えられている

けれども今、小夜がいるこの場所には張り詰めた空気に満たされていた

「それで…小夜さんは…
結婚をやめるというのかな?」

目の前に座る桜井良ニは腕を組み無表情で小夜を見下ろしていた

「すみません!
初めからきちんとお伝えするべきでした
申し訳ありません」

床に額を擦り付けて小夜は良ニに詫びを入れた

「理由は話せないと?
それで私が納得するとでも?
おいっ!良孝をここに呼びなさい!」

隣で驚いている妻にまで良ニは大声を出して命令した

「はっはいっ…」

妻はバタバタと部屋を飛び出して行った