……あれぇ?ふわふわ…
ん?誰かの声が聞こえる…
たしか…忘年会…会社の忘年会にいたはず…

「小夜!?どうしたの?」

誰かの背におぶわれながら聞き覚えのある声がした

閉じていた目をそっと開けたとき…

「んぐっ!」

小夜の体も僅かだが揺れ、衝撃が伝わってきた

「あんたね?小夜を悲しませている腑抜け野郎は!
次はそのイケてる顔にお見舞いしてやろうか?」

畳み掛けるように威勢の良い声が続いた

「ま…待て…」

おぶっている小夜を落とさないようにしながらアパートの壁際へと後ずさる

「ん?あれぇ~?
由美子さん!由美子さんがいる!」

いつもより目線の高い位置から、鬼のような形相で蹴りの構えを見せている由美子が見えた

「この激しい勘違いをしているのはお前の友達か?
じゃあ部屋で話せ…ほら行くぞ」

コクコクと頷く小夜をそのままおぶって、溜め息混じりに階段を昇った