約束の朝…遥が洗面所で髭を剃るのをドアの隙間から家政婦ばりに眺めていた

…あぁ…素敵…真剣な眼差しで鏡を見つめるハル…
きゃ~!あたしも鏡になりたい…

「さあや!見るならこっそりなんて止めてくれ…
ほら…こっちに来て!」

…あら…バレていた?
じゃあお言葉に甘えて失礼しま~す!

パウダールームに入り、ハルの背中に抱きついた

…う~ん…落ち着く…この匂い…
って…あたし変態っぽい?
でもいいの…ハルがストーカーなら…あたしは変態で…

「さあや…僕も離れていたくないけど…顔を洗っていいかな?
いい子で待ってるんだよ」

シェービングフォームの付いた顔でニカッと笑い小夜の頭にポンと手を置いた

「はぁ~い」

支度の終わった小夜はソファで膝を抱えて座っている

…今日の撮影が終われば…
きっといつもと同じ明日が来る…はず

そう自分に言い聞かせて膝におでこをくっ付けた

何がこんなにも不安にさせるのかその正体は分からないが…嫌な予感…胸騒ぎが収まらない