そのまま一階に降りて、朝食作って、真理子姉を起こして、みんなで朝ご飯を食べた。
「真理子姉は今日出勤だっけ?」
「そうよ。優子はバイトよね」
「うん。」
真理子姉。休日出勤お疲れ様だ、と心の中で思っていると、口を開いたままのそーちゃんと目があった。
あ、そーちゃん今日は会社休みなんだ。
「えぇー優子と遊びに行こうと思ったのに。」
不満あり気にいう聡介に向かって、姉は「残念」といって鼻で笑った。
今まではそーちゃんが泊まりにきた翌日には色々な所に遊びに連れていってもらってたけど、昨日の事件があったから、今はとてもそんな気分はなれない。
これからそーちゃんとどう関わればいいのか分からない
(バイト入れてて良かった)
「じゃあ、来月の第三日曜日。空けといて。優子の好きな所遊びに行こう」
「あら、私は?」
「真理子は彼氏とのデートで忙しいだろー」
「…来月のことは分かんない。最近忙しいから休みとれないかも」
そういって優子は、残りかけのパンを一口かじって、席を外した。
普段なら、声を弾ませて快諾する私だが、ぎこちなく話す私の様子を見て、きっと真理子姉は不審に思ったのだろう。
しかし今の私には、周りを気にする余裕もなかった。
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朝食を食べ終え、身支度をしてから一人で家を出るつもりだったが、「送ってやる」といわれ、そーちゃんに無理やり車に乗せられた。
そーちゃんにとっては貴重な休みだが、やることないので、今すぐ会社に戻って残ってる仕事をしにいくそうだ。
車内では終始無言で、バイト先の裏口が見えると、その前で車を停めてくれた。
「いってらっしゃい。」
「行ってきます…あの、そーちゃん…」
送ってくれた恩もあるのでお礼をいおうとした瞬間
不意打ちでおでこにキスをされた。
すかさず、手でおでこを抑えると、そーちゃんは悪戯に笑って「諦めねーからな」といった。