「だって、優子がいつまでたっても俺を男として見ないから。…荒療治だよ」
舌を出して優子の首筋を舐める聡介に優子は寒気がした。
好きだ、とかすれた声でいう聡介。
聡介の突然の告白に戸惑う優子。
まさか、あのそーちゃんが私のことを
そんなまさか
熱のこもった目でこちらを見るので、思わず目をそらして呟いた
「なんで…?そーちゃんには彼女いるのに…」
「いつの話してんだ。とっくに別れてるよ。一年ほど前に」
「―っ。でも、」
そーちゃんに何か言おうとして口をあけたが、下の階から聞こえる姉の声で我に返った。
「優子ー!林檎剥いたから食べに降りてくるー?」
助かったことに、姉はまだ聡介が自分の部屋にいることに気付いていない。ここで、返事を返さなければ姉は不審に思って二階まで上がってくるだろう。
「うん。食べるー!」
そういって、慌ててベッドから降りて部屋を出ようしたら、聡介に腕を掴まれた。
「…俺のこと考えといてよ。優子。…あと、無理にしようとしてごめんな。」
優子はなにもいわず聡介の手を払って部屋を出た。
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「…優子、…?」
「なっ、なに、真理子姉」
「あんた、顔真っ赤…」
後ろ姿だったからそーちゃんには気付かれなかったけど、今の私は顔は熟れた林檎のように真っ赤だったのだろう。
【1話(終) 】