「マリアはまだ寝ているのか?」
あたしの広い部屋の扉の向こうで、愛しい人の声が聞こえる。
「すいません、王子」
ゆっくりと開くドアを薄目を開き見据えると。
何もなかったように、寝息を立てる
「マリア、」
耳元で聞こえる優しい声にあたしの心臓は大きく揺れ動く。
高まっていく心を押さえながら、瞳を開けることを拒絶する。
「マリア、朝だよ。」
耳にかかる息と、彼の指があたしの頬に触れる。
冷たい彼の手が、あたしの高まる熱を押さえつける。
「そろそろ起きないと、」
キス、するよ?
あたしが起きていることを知っているように、けれど。
起きたくなくなる言葉をつぶやく。