それでね、と彼女はラファエルの話を続ける。
彼女は始めて恋をした少女のように、無邪気に語る。
初めてラファエルを知ったのは大学に入る半年くらい前のことらしい。
もともと家族がファンだったので、コンサートに一緒に行ったことがきっかけだった。
彼が演奏する曲を聴いて、不思議と何か満たされてゆく感覚を覚えたんだそうだ。
彼の妖艶な雰囲気から放たれる、儚いメロディ。
心が吸い込まれていくような旋律に、自然と涙がこぼれる。
これが感銘を受けるということなのだろうと、彼女は思った。
魂を奪われたかのように、彼の曲を聞き入った。
そしてコンサートの終わりには、彼のアルバムCDを購入し、握手会に参列した。
彼は作り笑顔で次々と客に握手と言葉を交わしていった。
アイリスはもちろん今まで感じたことのないような緊張感を抱いて、彼を目の前にした。
彼はただ短く「CD購入してくださってありがとうございます。」と微笑んでサインを書いてくれた。
彼女はもうそれだけで胸がいっぱいで、彼の目の前で立ち尽くしてしまった。
彼は不思議そうに彼女を見つめ返して、そっと手を差し出した。
「あの、握手を・・・」
「あ!はい、すみません。」
そう言って同じように手を出して、握手を交わした。
その瞬間、彼女は時が止まればと心底思った。
こんなことで心臓が張り裂けそうになったことはなかった。
小声で「応援しています。」と言って彼の手を離した。
すると彼も優しく微笑みを返した。
そして彼女が一歩離れると、後ろのファンの者に目を向けた。
彼女は始めて恋をした少女のように、無邪気に語る。
初めてラファエルを知ったのは大学に入る半年くらい前のことらしい。
もともと家族がファンだったので、コンサートに一緒に行ったことがきっかけだった。
彼が演奏する曲を聴いて、不思議と何か満たされてゆく感覚を覚えたんだそうだ。
彼の妖艶な雰囲気から放たれる、儚いメロディ。
心が吸い込まれていくような旋律に、自然と涙がこぼれる。
これが感銘を受けるということなのだろうと、彼女は思った。
魂を奪われたかのように、彼の曲を聞き入った。
そしてコンサートの終わりには、彼のアルバムCDを購入し、握手会に参列した。
彼は作り笑顔で次々と客に握手と言葉を交わしていった。
アイリスはもちろん今まで感じたことのないような緊張感を抱いて、彼を目の前にした。
彼はただ短く「CD購入してくださってありがとうございます。」と微笑んでサインを書いてくれた。
彼女はもうそれだけで胸がいっぱいで、彼の目の前で立ち尽くしてしまった。
彼は不思議そうに彼女を見つめ返して、そっと手を差し出した。
「あの、握手を・・・」
「あ!はい、すみません。」
そう言って同じように手を出して、握手を交わした。
その瞬間、彼女は時が止まればと心底思った。
こんなことで心臓が張り裂けそうになったことはなかった。
小声で「応援しています。」と言って彼の手を離した。
すると彼も優しく微笑みを返した。
そして彼女が一歩離れると、後ろのファンの者に目を向けた。