シュラは、顔色は悪く咳き込みながら部屋へ招き入れる彼女を見て、申し訳なさそうに言った。

「あまり長居はするつもりないから・・・。本当に突然来て悪かったな。気を使わなくて良いから、寝ていてくれ。半分看病するために来たようなものだから。」

彼が言い終わらないうちに彼女は咳き込んでふらついた。
シュラは慌てて持っていた荷物を置いて彼女を支えた。
そのまま彼女を座らせて、銀色の瞳を覗き込んだ。
呼吸が荒く、謝辞さえも言えぬアリスの額に手を当てた。
どうやらそう高くはないが熱があるらしい。
アリスは咳き込みながら立ち上がろうとしたが、初めて会ったあのときのようにシュラは彼女を軽々と持ち上げ、寝室へと運んだ。

彼は静かに彼女をベッドに寝かせ、布団をかけた。
アリスはそのまま強い眠気に襲われて、まぶたが自然に落ちていき、眠ってしまった。

シュラ・・・
ねぇ、あなたは何を恐れてるの?

夢の中で私は彼にそう聞いていた。

彼は横顔を私に向けたまま、まっすぐ前を見つめている。
その瞳は中に水を入れているかのように、ゆらゆら光が揺れた。
彼は悲しそうな表情で私を見つめて、何かを私に言う。
口は動いているのに、私には彼の言葉が聞こえない。

もっと、もっとたくさんあなたのことが知りたいのに、どうしてだろう
どうして、あなたはいつも悲しそうに私を見つめるの?
私は自分のこと臆病だと思ってるけど、あなたはもっと臆病なのかな。
夢の中でも微笑んでくれないもんね。
それで、その後どこへ行ってしまうの?
ねぇ・・・思ったことそのまま言ってよ。
あなたの瞳に映るすべてのものを私に教えてよ。
映るものを見つめて何を思うのか、聞かせてよ。
怖いなら・・・
私も同じ恐怖を背負うから。一緒にいるから・・・。
ね?

どうしてなんて、聞かないでね・・・。