そう
初めて人が死ぬ予知夢を見た、14のあの時のように。
あの時と同じ今日。
同じように、予知夢を見てしまった今日。
一瞬通り過ぎたかのように思えたその夢は、雨というフラッシュバックを招く悪魔によって呼び覚まされてしまった。

そしてそれは、忘れたくとも忘れられない記憶となって彼を一生追い続ける。
雨の中走りながら、何も考えずにただ恐怖から逃げるように、彼は走り続けていた。
助けを求める声を上げることも出来ずに、ただ雨が止むまで走り続けるつもりでいた。

そして、彼女は同じく豪雨の中佇んで、彼の涙を拭ったそのハンカチを握り締めたまま、しばらく立ち尽くしていた。


その翌日。
私は風邪を引いてしまい、会社を休んだ。
部屋で大人しく寝ていると、携帯電話が鳴り、みっちゃんから驚愕の事実を聞かされた。
おじ様が自宅で急に倒れて、今病院で危篤状態だということ。
私は昨日のシュラの急な変貌振りに頭を悩ませていたにも関わらず、いきなりしらされた身内の不幸にどう対処して良いのかわからず、電話で話しながらボロボロ泣いてしまった。
みっちゃんになだめられながら、とりあえず具合がよくなるまで安静にして、と言われた私は、自分の情けなさを痛感しながらそのままベッドに倒れこんで寝てしまった。

そしてまた目覚めると、昼だった。
少しボーっとしながらも、今までのことの重大さを思い出して、てきぱきと片付けをした。
しかし依然として体はだるく、咳も止まらない状態だった。
あまりの情けなさにまた涙を浮かべながら、とりあえず何か食べようとキッチンに入った時、シュラのことを思い出した。

彼は・・・おじ様のこと聞いたんだろうか・・・。
昨日あんな状態だった彼は・・・。
いったい、どうして・・・?