「え・・・」

そのまま腕を引いてベッドの上へ引き上げた。
初めて会ったときより軽くなっているような気がする。
そして窓のカーテンを閉め、毛布を彼女にかけた。

アリスはオレンジ色の明かりに照らされた彼の優しい顔を見て、思わず涙が溢れた。
彼は何も言わずに、銀色の瞳から流れたその涙を指でぬぐった。
アリスは抱きつきたくなる衝動を今度は抑えて、振り切るようにうつむいて礼と侘びを入れた。
暗闇の中、これ以上彼と近距離でいることが苦しくなったアリスは、何も言わずゆっくりと彼から離れてベッドを降りた。

「あの・・・荷物取ってきますね。シュラさんの分も。」

シュラは静かにうなずいた。

同じように真っ暗な事務所のフロアで、しばらく立ち尽くして気持ちを落ち着かせた。

何やってるんだろう私・・・。早く電気つかないかな。
わかってるのかわかっていないのか、わからにないけど、シュラってなんて気安いんだろう・・・。
仕事仲間だからって仮にも女性なのに、暗闇の中いきなりベッドに引っ張るなんて。
下心なしでそんなことシラフでする人いないよ。
私だけ・・・?こんなに困惑してるの・・・。

そう思いながらとぼとぼと荷物を手探りで探しに行った。