「ああ、それと・・・」

「え!はい!?」

タバコをふかしたまま、シュラは振り返って私をじっと見つめた。

「余計なお世話かもしれないけど」

「・・・はい・・・?」

彼の顔はやはり、まだどこか幼い。
それでもどこか、誰よりも大人に見える。

シュラは指でタバコを挟むと、呆然と見つめる彼女に無表情で言い放った。

「俺は、化粧の濃い女は嫌いだ。」

・・・・えっ・・・!?

毒舌な人だった。

彼の歌声は天使といわれるほど。
もちろん地声だってかっこいい。
そんな澄んだ声からの衝撃波。
日本に来て仕事の初日、私はそれをまともにくらってしまったのでした。

彼は何も気にしないまま、鼻歌混じりにまた一人で冷たい廊下を歩いていった。

アリス・クラウド
二十歳。
私の大好きな人はこの人なのです。