シュラは・・・
とんでもなく女性不信だった。

知らなかった・・・。

アリスの顔色は悪くなっていった。

事務所の廊下を二つの靴音が響く。
静かにシュラの後を歩いていた。

彼の経歴、出身から何でも知っているつもりだった。

だがシュラはまったくメディアに出ないため、プライベートなことなどは一切知られていない。
まさにどこからも情報を手に入れられない、伝説のミュージシャンだ。

それより
どうしたらいいのだろう・・・。

彼が女性不信になった理由は理解できた。
だから自分が受け入れられないかもしれないということもわかった。
だからってどうすればいいの・・・?
おじ様が決めたことだもの、私がシュラのマネージャーという仕事を断る権限はない。
・・・シュラにその権限が無かったように。

でも、認めてもらいたい。
確かに私はシュラの大ファンで大好きだけど、それが今までシュラに言い寄っていた女の人と同じミーハーだって言われても
私は仕事をしてシュラと関わりたいと思っている。

何よりシュラの音楽の仕事を間近で見て、勉強して、役に立ちたいと思ったから日本まで来た。
だから人としてというよりも、マネージャーに決まってしまったからにはシュラに認めてもらうマネージャーを目指したい。
そして、彼が創造する音楽の世界を支えられたら、どれだけいいか・・・。

彼は幼い頃から音楽の仕事をして天才と謳われた人物。
そして両親ともイギリスでは今は伝説である有名人。
彼は本物の天才だ。
そう誰もが認めている。