オレンジ色の証明のバスルーム。湯気が金色の美しい髪を隠す。

シャワーの音と鼻歌が聞こえる。
彼はジッポライターでタバコに火をつけた。
快晴の早朝。大きな窓からは都会、ロンドンの町並みが見える。

整った大きなダブルベッドは高級ホテルの象徴。
部屋のドアが開くとともに、ワイシャツとチェックのミニスカート姿の少女が現れた。
少女と言ってももう二十歳になる女性だ。
彼女はタバコをふかす青年の隣の大きな窓のカーテンが開いていることに気づいた。
彼女はつかつかと歩み寄り

「何で、カーテン開けてるんですか。」

そう言いながら紺色の重いカーテンを閉めた。
青年は少し笑い、背中を向けたままの彼女に言いながら腰を上げた。

「20階なんて誰も見ないよ。」

彼女はカーテンをつまんだまま何かを考えていた。

「あ、俺もう行かないと・・。」

彼は腕時計を見て、スーツの襟に挟まった後ろ髪を出した。
背が高く、美しい茶髪と茶色の目、整った面立ちに長い足にはスーツがよく似合っていた。
彼は透明なガラスのテーブルの上にある灰皿にタバコを消し入れながら言った。

「君、今日でいくつになったんだっけ」

「え・・・?」

彼の以外な言葉に彼女は意表をつかれた。

「今日誕生日でしょ。」

彼は自分のかばんから大きめの財布を取り出した。
彼女は彼の表情を伺いながら答えた。

「・・・二十歳・・です。」

青年は彼女に歩み寄り、笑顔で取り出したものを差し出した。

「じゃあ、はい。」

薄暗い部屋の中、カーテンの隙間から入るわずかな朝日に、彼女の美しい金髪に逆光を浴びせる。
彼女は不思議そうに、おずおずとそれを受け取った。