「ごめんねー!おどかすつもりなかったんだけど……」

「いいよいいよ。大丈夫だから。」


近寄ってしゃがむ宮田さんに微笑んで、椅子を引き寄せて座り直す。

まだ心配そうにしている宮田さんを見て、話題を変えよう、と思う。


「なんでここにいるの?」

そう聞きながら近くの椅子を引いて宮田さんに奨めると、うれしそうにうなずいて宮田さんは座る。


「私ね、これでも執行委員に入ってるんだよ。」

「えぇ?そうなの?」

「うん。それでね、新入生も入ったから、あと少しで球技大会があるでしょ?」

「ああ、そういえばそうだね。」

「そう!それで、球技大会のお知らせのプリントを中等部に配る用に作んなきゃいけなくなって。」

「へー、大変じゃん。」

「まあね。で、職員室にパソコン室のカギ借りに行ったら映画研究部の男の子が借りて行ったって言うから、だれだろーと思ってたんだけど。
三宅くんだったんだね。」



宮田さんは表情がころころと変わるなあ、と思った。


それに素直に感心していると、

「映画研究部って何するの?」

と宮田さんが聞いてくる。


それに、ああ、とつぶやいて、椅子を足でずらしながらずっと光っていたパソコンへ近寄ってマウスを握る。



「あんまり活動的じゃないんだけど…

簡単に言ったら映画を見たり作ったりするんだよ。」

「作るの?すごいね!」

「はは、そうかな。
ほら、これとか去年作った映画なんだけど…」


『映像』
のフォルダからひとつを選んでクリックする。

画面に小さく現れたスクリーンを大きくすると、宮田さんが食い入るようにそれを見つめていて。



オープニングだけを見せて一時停止のボタンをクリック。


「どう?機材もあんまり揃ってるわけじゃないから、あんまり良いものじゃ………」

「すごいよ!!!」


目をきらきらさせてそう言う宮田さんに、思わずあとずさる。



「すごい。すごいね!
三宅くんは小さいころから映画が好きだったの?」

「え?ああ、うん。
映画見るのが好きで。
それにもともと静かなほうだから、考えごとばっかりしてたらストーリーとか考えるのも好きになったんだよ。」

「静かなほうなの?
ゆうちゃんと話してるときはそんな感じしないのに。」

「はは!中野が馬鹿だからね。
つられるんだよ。」

「あはは、わかるかも。」


そんなことを話していると、宮田さんがデスクトップのある場所を指差す。