「俺がお前の話よくするんだよ。
三宅泪っていうおもしれーやつがいるんだぜってさ。」

「はあ?どういう意味だよ。」

「ははは!そういう意味だよ!」

「意味わかんねー。」

「はははは!」


僕らのそんなやり取りに、ミヤタさんがにこにこと笑う。

「仲良しなんだね。」


それに中野が、だろ?とか言いながら肩を組んでくるので、それに抵抗しながら笑う。



するとミヤタさんといっしょにいた女子たちがミヤタさんを呼ぶので、ミヤタさんは一度振り返って
「いま行くよー。」
と言うともう一度僕を見る。


「あのね、私、宮田さよっていうの。
また今度会ったらお話しよ!
ゆうちゃんのお馬鹿なエピソードいっぱい教えるからさ〜。」

「え?ほんと?
よろしくね、宮田さん。」


僕がそう言って笑いうと、宮田さんもにこにこと笑う。

中野だけは慌てて立ち上がって、

「おい、宮田!余計なこと言うなよ!」

と言うが、宮田さんは笑いながら中野をよけると、手を振って振り向く。


「じゃあね、三宅くん!」



その背中に僕も手を振る。



「ったく。あいつ………」


そう言ってまた座る中野に、僕は笑う。


「良い子じゃん。幼なじみ?ってやつ?
うらやましいな、そういうの。」


「そう?まあ、楽な仲だけどな。
でもあいつまじでおもしろいやつだからさ。

今度いっしょに遊ぼうぜ。」


「うん。」


まだ食べかけだったカレーパンを頬張りながらうなずき、視線を中野から目の前の中庭へと移す。



「あ。」


そう言ってカレーパンを置く僕に、中野が牛乳を飲みながらこっちを見る。



僕は両手の人差し指と親指を四角く合わせて、目の前にそれを向ける。

額縁のようになった指の間から目の前の景色を見る。


「お。この景色、いいかも。」

「ああ、アングル?」

「そ。」

「お前も物好きだよな〜。」



僕の姿を見ながら中野がそう言って笑う。