side*紗希

「すみません…。
通してください…」

可愛くも頭が良くもない。
その上、目も見えない。
光を感じることすら出来ない、光のない世界で生きている。
…みんなに迷惑かけながら……。

「…大丈夫?
肩貸そうか…?」

そんな階段を上り途中のあたしの前に現れたのは…。

「…あ、俺、松永龍弥。」
松永さん。
「えっと…、恒松紗希です。
お願いしても…いいですか?」
見えないあたしの、最終手段…。
でも…ちゃんとお礼しなきゃな…。

「最後の一段だよ、
気をつけて。」
「ありがとうございました。
…何かお礼ができれば…」
「いいよ!
またなんかあったら言ってくれればいいから。」

そう言って松永さんは去っていった。