「よろしくお願いしますっ!」

母いわく高橋悠斗君が
満面の笑みを浮かべ
頭を下げた。

えぇ…
やけにキラキラしてない?

優奈が呆然としていたその時

パコッ―

何かが頭にぶつかる

「あたっ…」

「こちらこそ
よろしくお願いします♪」

母の手だった。
それも、無理やり頭を
下げさせられていた。

お母さん…
超痛かったよ?

優奈が顔をしかめていると
家庭教師になる高橋悠斗って人が
笑顔で彼女の方を向き

「こちらこそ!
ではまた後日来ますので。」

と言い残し
優奈の家を後にした。

彼が家を後にした瞬間
まるで時間が止まったかのように
優奈は硬直する。

「びっくりした?」

母が優奈の顔色をうかがい
笑顔で問いかけた。

「はあっ!?
びっくりすぎるって!!
お母さんてば、勝手に
何してんのさ!!」

「だってぇ…
優奈バカなんだもん。」

バカ―
お母さんには
一番言われたくなかった言葉…

そうだ。
優奈の母は、優奈以上のバカ。

「遺伝って…怖い。」

そう言って、
優奈は自分の部屋へ進んで行った。