(それじゃあ犯人は外から侵入したんじゃ無いのね…)

刑事の言葉で恐ろしい犯人がこの中に居ると察した江里子は顔を青ざめさせた。

『奥さん達はいつ頃お帰りになられる予定ですか?』

『本当はあと五日滞在する予定でしたが、もう此処に居るのは怖いので直ぐに帰ります』

さっき雄一郎とも話し合ってそうする事にしたのである。

『それは困りますね、少なくとも後二日は滞在してください』

予想外の答えに江里子は黙り込んだ。

『察して下さい。ホテルは用意しますし、その間護衛は完全にします。24時間体制で刑事を三人待機させますからご安心を』

安心しろと言われても、このペンションを血の海にした犯人が身近にいるのだ。用意してくれるホテルで又同じ屋根の下になるではないか。