「…私も、龍輝さんのどこが好きかは、よくわかんないかも…。
優しいところとか、笑顔とか…、それこそほんと、全部が好きなんだと思う。

でも、“全部”って言葉だけで表したくないと言うか…、全部は全部なんだけど、でもよくわからないと言うか…。

うー…なんか、私も頭の中グチャグチャになってきた…」


…全部って、なんて都合のいい言葉なんだろう。


全部好き。
だけど全部って何?

何って聞かれてもわかんないくらい、全部が好き。


…結局、それ以上は上手く言えない。




「…なんか、言葉って難しいですね。って、あれ?」


天井に向いていた視線を龍輝さんに戻す。けどそこに龍輝さんは居なくて…、




「お前、無防備だなぁ」

「わっ…!?」


…いつの間にか龍輝さんは私の隣に来ていて、キスしちゃいそうなくらい近くに顔を寄せていた。