うー…なんか、すっごい気になる…。

でも、こんなこと聞いたら変に思われるかな?
あ、でも…こういう考え方がもう既にダメ?

…うーん…。




「なに、どした?」

「あ…えっと…」

「うん?」


…うん。
ここはズバッと、聞いてみようかな…。




「えっと…龍輝さんって、私のどこが好きなんですか?」

「へ? どこ、って…、んー…」


あ…、すっごい困った顔してる…。


「ご、ごめんなさいっ…やっぱり今のは無しで!!」

「…いや、ちょい待ち。ちょっと考えさせて」


うぅ…考えなきゃ出ないようなもの…?

やっぱり聞かない方がよかったのかも…。




「あー…あのな、どこ、って聞かれてもよくわかんない。つーのが答え」

「…はい」


「て言うかさ、“ここが好き”とか答えんのはなんか違う気がする。
場所を指定したらさ、そこ以外は否定してる感じがするじゃん?

そりゃあ、“笑顔が好き”とか“話してて楽しいから好き”とか、言おうと思えばいくらでもあるんだろうけど。

でも“そこだけ”が好きなわけじゃなくて…なんつーか、全部が好きなんだよ」


…全部が、好き…。


「…だからってさ、“全部好き”って言ったら言ったで、なんかこう、信憑性に欠けるっつーか…。
なんか、テキトーな感じがしない?

だから…上手く言えない。
すげー好きだけどさ、でも“どこが?”って聞かれてもわかんねぇ。
ごめん、なんか頭ん中グチャグチャ…。
でもマジで好き。それはもう、マジだから」


真っ直ぐ、真剣な瞳が私を見続ける。




「…龍輝さんの、言う通りかも…」


龍輝さんの言葉一つ一つを思いながら、天井を静かに見つめる。