「化粧ん時もそうだけど、他の時もさ、周りの目ぇばっかり気にしてるよな。
いっつも1歩…つーか4歩くらい引いてる感じ。

お前、“私なんてー”とか思って生きてんだろ?」


う…ズバリ、その通りかも…。

私と龍輝さんが並んで歩いてるのを、周りの人はどう見てるんだろう?とか…、
龍輝さんの隣にはもっと相応しい人が居るんじゃ?とか…、色々なことを考えちゃう。

だから、「恋人」になれた後も、隣に並ぶのを躊躇ってしまう。




「俺はさ、お前とこうやって話してるのすげー楽しいよ?
だから学校とか街とか、場所なんて関係無く今みたいにお前と話したい。
周りの目なんか気にしないで話してもらいたい」

「………」


「…まぁ、無理されんのは嫌だから、少しずつでいいけどな」


…苦笑気味に笑う龍輝さん。

私は、それに上手く応えられなかった。


私…、私も龍輝さんの隣に並んで歩きたい。
堂々と手を繋いで笑って歩きたい。

そう思うのに、やっぱり周りの目が気になってしまう。


…龍輝さんは「気にしすぎ」って言うけど、でも気になるものは気になるんだよね…。

だって私は、龍輝さんや他のみんなと違って、なんの輝きも持ってないから。




…優ちゃんみたいに可愛くないし、大雅さんみたいにお喋りが上手いわけでもないし、友達も多くない。

朔也さんみたいに勉強が出来るわけじゃないし、健吾さんみたいに運動が出来るわけじゃない。


そして…、龍輝さんみたいに堂々と自分の意見を言えないし、行動することも出来ない。


私は、みんなみたいには出来ない…。




…龍輝さんは、どうして私のことを好きになってくれたんだろう?


「気付いたら好きになってた」って言われたけど…、でもそれって、よくわかんない…。