~龍人~

 突然崩れた翔を抱きとめた。
 ・・・のは俺じゃなく兄貴。

「ちっ・・・・」

「舌打ちすんなよ」

「うるせぇよ。俺はまだお前が嫌いだ」

「「・・・」」

 沈黙


「んぅ・・・」

 という呻き声と荒い息遣いが聞こえた。

「「翔!」」

 兄貴が脈をはかり、俺が額に触れる。

「すごい速さだ・・・!」

「あっつ・・・!!!」

 2人とも互いのいったことを聞いて焦って確認。
 つまり、
 俺→脈
 兄貴→額

 まぁ、変わるわけもなく。

「あっち!」

「っ・・・!!」

 互いに顔を見合わせ、兄貴が翔を担ぎ、
 俺はその後ろをつけ走る。

 教室につくと、
 全員驚いたような顔をしてこっちを向いた。

「誰かハンカチ!!」

 と、兄貴が叫ぶが、 
 不良がハンカチ持っているわけがない。
 結局堀井に借りた。

 水にぬらして翔の額に乗せる。
 保健室に行って冷えピタをもらって
 濡れたハンカチを返した。←

「もうこれは早退ね」

 保健室にいた女が言った。

「俺、送ります。 
 家も向かいなんで」

 と、俺が言うと

「あなただけ?
 えーと、松下君は?」

「俺も帰る」

「じゃぁ、私から堀井先生に言っておくわね?」