「夢っていえば大袈裟かも
 しんねーけど、近藤は
 1からやり直そうと
 してんだろ。」

人生をやり直すのかな。
今までよりも、もっともっと
良いものにしようとするのかな。

「でも、なんで引越ししなきゃ
 いけないの?」

私は流依に聞いた。

「ここは、やり直すには
 条件が悪いだろ。
 俺も、あずもいるんだから。」

やっぱり責任を感じているんだ
と思った。
でも、千紗ちゃんはやり直そうと
してるんだね。
そのために、引越したんだね。

「流依の夢は何?」

私は流依の袖をギュっと
握って聞いてみた。

「俺?俺は…。」

少し間を空けて
私から目線を外して。

「あずがいればいい。」

照れながら流依はそう答えた。
私も、同じ気持ちだったんだよ?

『愛おしい』
初めて、その言葉の意味を
知れたような気がした。

流依が愛おしくて。
愛おしくて。
この気持ちは終わる事を
きっと、知らない。
どんどん増していく。

私は、流依が側にいたら
それでもう、幸せだから。