放課後

流依の隣には千紗ちゃんが
来る前に、私がいた。
少ししてから
千紗ちゃんも屋上にやってきた。

「ぁれ？竹内君。
　私、言った…よね？」

私が流依の隣にいるのをみて
千紗ちゃんはそう言った。

「あぁ。覚えてるよ。
　だけど、いつまでもこんな状態
　良くないと思う。」

流依はハッキリとそういった。

「し…死ぬよ？」

千紗ちゃんはそう言うと
屋上の柵に足をかけて
柵の向こう側に立った。
きっと、ここで落ちたら死んじゃう。
私は、怖くなった。
千紗ちゃんの目には少し涙が
たまっているようだった。

「待てよ！」

流依はそう叫んでから
話し始めた。

「俺が恋愛対象として見れんのは
　あずしかいない。
　だけど、近藤さんを愛してくれる人
　だっていんだろ？」
「いないっ！いないよ…」

千紗ちゃんの目からはいつしか
涙がこぼれ落ちていて。
流依も必死で。

「絶対に、そんっな…人いない。」

千紗ちゃんの涙を見て思った。
本当に、死にたいなんて
思ってない。
きっと、愛してくれる人を
探してる。心細いんだ。
孤独なんだ。
潰れそうで、必死なんだ。
そう思うと私は千紗ちゃんに言っていた。

「いるよ。私は千紗ちゃんが好きだよ？
　梨乃も、先生も、親も
　皆、千紗ちゃんが好きだよ。
　今、千紗ちゃんが死んだら
　皆が悲しむ。皆が涙を流すよ？
　それでも、死ねるの？」

私は一歩ずつ千紗ちゃんに
近づいた。
柵をまたいで、千紗ちゃんの
隣に立つ。

「まだ、死にたいって思う？」

私は、出来るだけ柔らかい声で
そう聞いた。

「しっ…死にったくぅな…っい」