「う…うっ……」
「………」


“――…、――――!……”


 二人してソファ-に並んで座って、互いに寄りあいながら恋愛映画のDVD鑑賞会をしていた。


“―…、―――――!……――”


 彼女は、今泣いている。後半の殆どを涙目でみていた。
 ……寧ろ、泣きじゃくっているといってもいいほどだ。

 それに対し彼の方はというと、移り変わっていくテレビ画面と泣きながらそれを見つめている彼女の方とを、交互にみていた。

 おそらくは、二時間半の映画中、彼女を見ている時間のほうが長かったと彼は思った。

 だから映画の内容なんてものはあまり覚えていない。
 ただ、よくあるパターンの映画だということは十分に理解していた。