「夾ちゃん!」
「香桜…ちゃん、」



 フルフルッと頭を振りながら、びしょぬれの彼が、にへら、と笑う。



「水槽の匂い! どうしよう! 夾ちゃん!」
「ホント、魚も一緒みたい」



 彼はのんきに、周囲を見回した。
 尾びれをバタつかせる、真っ赤な金魚が息苦しそうにもがいていた。