「あと少しだけ、」
「ん?」


 言葉を交わそうとすれば、彼はこちらに顔を向けようとしてくれる。

 その為に、寄り添っていた私の身体は小さく揺れる。


 水面みたいに。

 風に揺られた、花のように。


「このままで、いい?」


 内側から、温かく……いや、寧ろ暑くなる。

 熱を帯びる、咽喉元。


 視界は、次第に潤んでいく。