放課後、なぜか私は担任に呼ばれた。
職員室の担任の元へ行くと、成績がなんたらかんたら言われた。
そんな話を右から左に流しながら、職員室を見渡す。
兎田先生の姿は見付からなかった。
もう帰っちゃったのかな。
「それに、兎田先生の事なんだけど――」
「えッ!?」
今考えていた人の名前をいきなり言われ、明らかに動揺した声を出してしまった。
そんな私の反応を眉をひそめながら見ていた担任は、続けて話し出した。
どうやら私と兎田先生の事は、先生達の間でも問題になっているらしかった。
そんな事、全然知らなかった。
担任が私を呼んだのは、成績の事なんかよりも、こっちがメインだったんだろう。
兎田先生は今、その事で山崎先生と話しているらしい。
それを聞いた時、私は駆け出していた。
先生は悪くない。
全部、私が勝手にやった事で。
私が勝手に付き纏ってただけで。
山崎先生と兎田先生は数学の先生。
二人はきっと、数学準備室にいる。
私はその教室の戸を、思い切り開けた。