笑ったら、冷たい風が涙をさらっていった。
そういえば、ここは屋上だった。
どうりで寒いわけだ。
私は先生の隣に腰を下ろし、先生に渡すはずだったお弁当を脇に置いて、自分のお弁当を膝の上に広げた。
「……玉子焼きだけなら、食うよ」
「……へ?」
一瞬先生の言っている意味が分からなくて、私は素っ頓狂な声を上げた。
でも赤い顔をして、言いにくそうにもう一度そう言ってくれた先生のお蔭で、意味を理解出来た時、私はひどく幸せな気持ちになった。
屋上の風も、何だか暖かく感じた。
「まだ甘い」って、文句言われても。