「先輩………私…先輩が好きなんです…………」



普段はゴミ出しの人以外誰も寄り付かない体育館の裏で私は誰かが、『先輩』に告白するのを聞いてしまった。



やばいよやばいよ!?!?


私ってほんとに間が悪いんだから!!!!

てか…私ここになにしに来たんだっけ??


………あ!!ゴミ出しだ!!


えぇっと…………ゴミ箱………



その時、私の目には超美男子が写った。


その美男子はその告白した女子にニコッと笑って言った。


「ごめんね??俺、今は………に集中したいんだ。」


風の音のせいで何を言ったのか分からなかった。
でも、どうせ勉強とか部活なんでしょ??
あんな可愛い女の子振るなんて…

だからイケメンは…………


イケメンは女の子にそう言って、黒のさらさらした短い髪を風に舞わせて帰っていった。





「はじめまして!!!!!!安斎那緒、15歳です!!」


いきなりあいさつなんてすみません。


私は、この桜咲学園に入学して空手部のマネージャーをすることになった。


女子のマネージャーは1人だけ…あとは、2人男子がいるだけ。


入部した理由は、女子に人気だったから!!
………なのに……なんで女子マネージャーが1人だけなの??


面接のときはもっといたのに…






その時、同じ1年生でマネージャーの間要(ハザマヨウ)くんが話かけてきた。


「安斎!!」


「あぁ!!間くん!!」


「お前よく空手部のマネージャーになれたな!!」


ん??どういう意味??


「どういう意味??」


「この部にはさぁ、空手王子&学園王子とも呼ばれてる人がいてさぁ!?空手部のマネージャーになりたいって言う女子は全員がその人目当てで入って来て全く働かないわけ!!だから、面接があって女子マネージャーとして入部するのが難しいってわけ!!」


へぇー………私…すごいのかな??

「お前、入部希望理由なんて答えたんだよ??」


「え??……人気だから……」


すると、間くんは目を丸くした後に吹き出して笑った。


「はははは!!!!人気だからって!!すげぇ!!他の女子は学園王子関連のこと答えたのに!!」


「そ、そんなに笑わないでよ………て言うか………学園王子って何なの??」


「は???」





「え??」


「いやいやいや………安斎那緒……学園王子を知らないのはマズイ……」


え…………そ、そんなに!?!?


茜ちゃん(那緒の友達)はそんなこと言ってなかったし……


「…じょ、冗談だよ〜………あの、あれでしょ??そのぉ………あのぉ…………」


間くんは私の肩に手をポンッとおいた。


「無理しなくていいよ。知らないんだろ??」




「………知りません。」


私は下を向いて答えた。


「しょうがないな!!俺が教えてやる!!学園王子というのはな…この空手部に所属している、2年生の葛西光って言う人なんだ!!容姿端麗、成績上位、空手に関しては関東大会優勝だぜ??まだここにはいないけど…」


「す、すごい…………」


会ってみたい…
すごく会ってみたい………


「ま、そのうち来るだろう!!………いいか??安斎……」


「何??葛西先輩が現れたら、始めに絶対顔は見るな!!??」



「なんで??」


「イケメン過ぎて、気絶する。」


「ないないないない……それに、私さっきかなりのイケメンを体育館の裏で見たもん!!免疫ついてるから大丈夫!!」


私、顔だけで恋に落ちる人じゃないしね!!


「へぇ………免疫ね………」


「間くんもイケメンだし!!」


そう言うと間くんが顔をだんだん赤くした。


「は!!!!!!!おまっ………それは…………ないないないない!!!!!」


「ははははっ!!!超動揺してる〜!」

おもしろーい!!!!!


「からかったのかよ!?!?!?」


「半分は本気!!」


「からかってんじゃん!!」


―ガラッ―


その時、道場の引き戸が開いた。

「うわぁ…が、学園王子だ………ほら…見ろよ!!安斎!!」


何よ………さっきは見るなって言ってたくせに………