「うそだ、してないよ……!」


「したね。例えば高木さん、つまりちいちゃんのお母さんが怪我した日の夜、おまえ、胸をワザと俺の腕に押し付けたろ?」


「ち、違うよ。あれはワザとじゃないもん」


 気付いた後もそのままにしてたのは、ワザとだけどさ。


「ほんとかあ? じゃあ、観覧車の中でキスしたのは? あれもワザとじゃないってか?」


「あれはそうだけど、迫ったわけじゃないもん。逆に和也を諦めるためだもん」


「そうなのか? でも、俺にはあれが効いたな。“こいつは絶対俺の彼女にしよう”って、あの時決めたんだ」


「そうなの!?」


 初めて知った……。キスしてよかった。