父と母が知り合ったのも、高3に進級してクラス替えした春だった。


 当時の父は、常に学年トップの秀才。母は、勉強はからっきしだけど、学校一のモテガールだった。

 何をもって“学校一”かはわからないけど、母がそう言い張るので、まあ、そういう事にしておこう。


 母は、ちょっとハンサムな父に興味を持ち、遊びのつもりで父にちょっかいを出した。ところが父は、母を全く相手にしなかった。


 父は、当時チャラチャラして、男遊びが激しそうな母が、大嫌いだった。それと、父には仲の良いガールフレンドがいた。

『郷土研究会』とかいう同好会の仲間で、高橋さんという、マジメで大人しい女性だったらしい。


 自分になびかず、おまけにはっきり嫌いだと言われた母は、意地になって父を落しに掛かった。


 母は、それこそ有りとあらゆる手を使い、父を落しに掛かったらしい。