「似てないわよ?」


 間髪を入れず、母のツッコミが入った。さもバカにしたように。


「容姿の事を言ってるんじゃない」


 途端に父は、ムスッとした顔でそう言った。夫婦喧嘩を始められたら困ると思い、


「どんなところが?」


 と、私は父に話を振った。


「うん。もっと正確に言うと、私と母さんが高校生だった頃の私達に、中野君と彩花は似てるなと思ったんだよ」


「お父さんとお母さんの、高校時代に?」


「ああ。なあ、おまえもそう思うだろ?」


 父に聞かれ、母は「そうかしら?」と言いながらも、


「言われてみれば、そうかも」


 と言った。