リビングのソファに並んで座って待っていると、普段着に着替えた父がやって来た。「やあ」なんて、手を挙げながら。


 すると和也は、凄い勢いで立ち上がった。私だけ座ってるのもどうかと思い、仕方なく私も立ち上がった。


「はじめまして! 俺、いや僕は中野和也と言います!」


 和也はそう言って、斜め45度に体を倒し、お辞儀をした。


 父はそんな和也に驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔になり、


「彩花の父です。まあ、座ってくださいな」


「は、はい!」


 和也ったら、緊張しすぎ!


「和也君、だね?」


「はい。昭和の“和”に、なりです」


「そう? じゃあ愛称は、“かっちゃん”かな?」


 “かっちゃん”?

 なに、それ。お父さんったら、何言ってんだろう。


「はい、母はそう呼びます」


 そ、そうなの?