焦りながら和也の視線をたどってみたら、彼は壁に貼ったアイドルのポスターを見ていた。


 なんだ、焦って損した。

 考えたら、元カレと写真を撮った事なんてないし、この部屋に男を入れたのは和也が初めてなんだから、何も焦る必要なんてないのよね。


 ところが……


「なあ、どうなんだよ?」


 和也は酷く不機嫌そうな顔で言った。


 これって、もしかしてまたヤキモチ? アイドル相手でもヤキモチ妬くわけ?


 信じ難いけど、間違いないと思う。和也の事は、だいぶわかってきたのよね。感情の動きとかが。


「好きよ。和也に似てるでしょ?」


「俺に? そうかなあ」


 そう言ってポスターに視線を戻した和也には、もう不機嫌な様子はなかった。むしろニタニタしてるから、上機嫌に変わったみたいだ。


 和也が意外に単純な人だという事も、私はわかっちゃったのよね。