「…蠢(うごめ)いている…?」


電車の中には人の姿ではなく、真っ黒な人とも獣ともつかないものが、うぞうぞと蠢いていたのです。

ホームに立つ他の人々は気づかない。その真っ黒なものに目を奪われていると、



ドンッと、



「―――!?」


背中を押されました。


前方に押し出された僕が落ちる先は当然、今まさに電車が滑り込んでくる…線路。



「!!!!」


いろいろなものが脳裏を駆け巡りました。
まだ終わっていない研究。父母の姿。友人の顔。


『罪を犯すな。』

父さんの言葉が頭の中で反芻し、



落ちゆく中とっさに後ろを見た僕の目には、