ちょうどその頃、南岸線斎珂駅が設立しました。



現在のような地下街はまだ無く、少ない編成の青い車体が走るだけの、繋ぎのような駅。

僕の最寄り駅が近いことや偶然斎珂駅近辺に用事があったこともあり、一度だけ斎珂駅を利用する機会があったのです。



《ジリリリリ…》


電車の接近を知らせる鐘の音。
ホームで電車を待っている僕。
接近する鈍重な電車。

特別なことなんてない、ごく当たり前の風景。




…しかし顔を上げた時、僕は電車の中に、実に妙なものを見ました。