お肉は目の前なのに…!



今ここで引き下がるわけにはいかない。だけどだからって、名前を支配されるわけにも…。

―――どうしよう…。



「ふん。」


困り果てる私の姿を、お肉屋さんは嘲るように見下ろしている。



「…………っ。」


―――ヤなやつ。

ヨシヤも充分ヤなやつだけど、この人はきっとそれ以上だ。



「何黙ってんの?
教えないならさっさと帰んな。邪魔だから。」



そう吐き捨てながらお肉屋さんは…、


「………っ!!」


ショーケースの上に出しっぱなしにしておいたお金を、

まるでゴミでも扱うように、私の足元に払い落とした。



ちゃりん、ちゃりんと音を立てるお金。



「……ッ!!」


それを見下ろした時、私は…、