どれも真っ赤で、牛肉のような豚肉のような…その中間と呼べる、今まで見たことのないお肉。
値札の上にも「おにく」としか書かれてない。
本当にこれしか売ってないんだ…。
「ねえ、これ美味しい?」
ひょっこり顔を覗かせて訊ねるけど、お肉屋さんはどうやらまだご乱心。
ギロッと私を睨みつけて、とんでもないことを言い出した。
「…気が変わったわ。
アタシも、アンタの名前支配する。
名前教えるまで、アンタには肉売らないから。」
「えぇっ!?」
そんなひどい。濡れ衣だ。
私はお使い頼まれただけだって言ってるのに。
「わ、私お客さんだよ!?」
「うるさい!客かどうかはアタシが決めることなのよッ!」
「なんて自分勝手なっ!」